歌ってみた・家の中編


解説
公衆に直接聞かせる目的が無いなら…
「著作者は、その著作物を、“公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として”上演し、又は演奏する権利を占有する」(著作権法第22条・上演権及び演奏権)
つまり、公衆に直接聞かせる目的が無いなら他の人が作った曲(著作物)を演奏しても演奏権の侵害にならないということです。
公衆
著作権法における「公衆」には不特定の人に加え、「特定かつ多数の者」が含まれます(著作権法第2条5項)。特定の人でも数が多いと、著作権者の不利益が大きくなるからです。例えば、100人くらいの会員限定ライブが「観客は特定人で公衆に該当しないから演奏権の侵害にならない」と言われると著作権者は困ります。
お風呂で歌って…通行人が聞いたとしてもOK
下記参照
“例えばお風呂の中で1人で歌曲を歌って、大きな声のために外の通行人に聞こえたとしても、それは公衆に聞かせることを目的とはしていないという概念構成であります”(加戸守行「著作権法逐条講義(七訂新版)」193ページ)
路上ライブだと…誰も聞いてなくてもアウト
下記参照
“通行人に聞かせるために街頭でヴァイオリンやアコーディオンを弾いて、お客が誰も通りかからなかったとしても、公に演奏していることには違いない”(加戸守行「著作権法逐条講義(七訂新版)」193ページ)
“例えばストリート・パフォーマンスにおいて、現実に人が集まっていなくても、また、誰も聞いていなくても「公に」上演・演奏することになる。”(作花文雄「詳解著作権法(第3版)」263ページ)
※ ただし、人に聞かせる目的の演奏でも演奏権の侵害にならない場合があります。詳細はVol.5, Vol.6「路上ライブ」で説明します。