路上ライブ(後編)


解説
無料でも商売目的だとだめ
加戸守行「著作権法逐条講義(七訂新版)」P344では、“直接営利目的でなくても、間接的に営利につながるかどうかの観点から判断されるべきもの”とされていて、例えば
- 宣伝用の無料試写会
- 歯みがきの空箱をもってくれば入場させて音楽を聴かせる演奏会
- 工場内におけるバックグランド・ミュージックの演奏
∵工場職員の能率向上に役立つ結果として企業の生産性を向上 - 喫茶店等におけるレコード演奏
∵音楽を演奏することで客の来集を期待
は営利目的があるとされていますが、“社内職員の運動会における演奏のような社内の親睦的目的の利用は営利を目的としないと解して差し支えない”と記載されています。
チャリティー名目でお金をもらってもだめ
ハートフルチャリティーコンサート事件(平成13年(ワ)第21902号)
“観客から直接入場料名目の金員を徴収することはなかったものの,寄付金を集めており,これは,著作物の提供について受ける対価と認められる”
青海に行こうとして青梅に行っちゃいました
アレンジして演奏するとダメ
“非営利上演等として利用が認められるのは、原作のままでの利用だけであります”(加戸守行「著作権法逐条講義(七訂新版)」346ページ)
要は非営利・無料・無報酬の演奏であっても、アレンジした場合は非営利上演等とはならないよということです。でも、POPSとかを弾き語りでやろうとしたらアレンジしないわけにいかないですよね。これには著作権法の先生方達も異を唱えていて、
“しかし現実には学校の公開学芸会においては、子供である実演者に応じて簡易化したり、時間の都合で一部省略したりすることは日常的に行われていることであり、そのような場合に翻案を認めないのは余りにも問題が大きすぎる”(中山信弘「著作権法(第4版)」)
“本条の利用において、原作のままの利用に限定し、例外が許容されないとするだけの合理的な理由が何であるのか疑問なしとしない。翻案等を許容すれば条約との抵触問題があるなどの所見もあるが(加戸・逐条講義287頁)制度設計としては問題を残すものである。”(作花文雄「詳解著作権法第3版」)
じゃあ、現実問題としてどう対処するのか?は、次回「路上ライブ・編曲権」として取り上げたいと思います。