サンプリングの著作権(前編)


解説
サンプラー
まいこーが使っているサンプラーはコルグさんのmicroSAMPLERです。
元カシオ社員ならそこはSK-1だろーという声は聞こえてきそうですが、SK-1のマイクは本体パネルに内蔵だったので、サンプリングするときの絵ヅラが、SK-1を持って口に近づけてサンプリングするのであまりかっこよくありません。
microSAMPLERは真ん中にピンとマイクが立っていて、いかにもサンプラー然としたたたづまいがかっこいいです。
創作性が無くなるくらい短くすれば著作権はオーケー
例えば、メロディーの中に”ド、ミ、ソ”の音列があったとして、このドミソの部分に著作権を認めてしまうと、そのあとに続くクリエイターのみなさんはメロディーにドミソを使えなくなってしまって、大変困るわけです。
なので、著作権を認めてもあとに続く人に十分創作の余地が残されていて(選択の幅が広いといいます)、文化の発展を妨げない程度までの創作性が認められるのであれば著作権で保護されます。
著作隣接権は創作性を要求されていない・・・条文上はアウト
著作権(著作人格権と区別するために著作財産権といったりもします)が与えられる著作物の定義は「思想感情を創作的に表現したもの」と規定されています(著作権法第2条1項1号)。
一方著作隣接権は著作物を世の中に広める人の権利で、その広め方について創作性のような規定はありません。ですので、ちょっとでも使ってしまうと条文上は侵害ということになります。
例えばライブ等でCD等をサンプリングして演奏するとサンプリングの長さに関わらず、実演家の録音権、レコード制作者の複製権を侵害することになります。ネットに上げると送信可能化権の侵害です。
ほんのちょっとのサンプリングで権利侵害になるってのはどーよ?という反対意見もありますが、日本では判例がなく現状は条文通り権利処理した方が無難です。
アメリカ、欧州ではサンプリングに関する複数の裁判がありました。次回Vol.15で紹介します。