知財漫画・おと猫まいこーVol.22

YouTubeのコンテンツID(後編)

解説
誰でも登録できるの?

YouTube運用ガイドには下記のように記載されています。
「YouTube は、一定の基準を満たす著作権者のみに Content ID の利用資格を付与しています。著作権者が承認を受けるには、YouTube ユーザー コミュニティによって頻繁にアップロードされるような大量コンテンツの独占的権利所有者である必要があります。」

ちなみに、NexToneはデジタルディストリビューション事業として、コンテンツIDの運用代行をやっています。面倒くさい音源ID登録を代行してくれるようです。

ポリシー…細かい設定も可能

例えば、動画公開を許可する地域(国)を限定したり、新曲発表前に動画投稿された場合は発表日まではブロック、発表日以降はトラックのポリシーを適用ということもできるようになっています。
動画の時間を制限することも可能で、私のところにも下記通知が届いたことがあります。

「このコンテンツは現在、60秒以上のショート動画での利用を許可されていません。あなたのショート動画はそれより長いためブロックされました。」

動画を編集して60秒以内に収めて再投稿したところ、無事公開されました。

メロディーは著作権者とリンクしていない…

コンテンツIDに音源情報を登録するのは、原盤権者、すなわち著作権法上のレコード製作者(著作隣接権者)であり、JASRACやNexToneのような著作権管理事業者とは異なります。
登録された音源データからは、「原盤フィンガープリント」が生成されます。また、音源から抽出されたメロディーラインに基づき、「メロディーラインフィンガープリント」も生成されます。
このメロディーラインフィンガープリントにより、UGC(ユーザー生成コンテンツ)に含まれる楽曲を特定できますが、この時点では楽曲と著作権情報(詞・曲の権利者情報)は結び付いていません。
そこで、YouTubeはコンテンツIDのリストを定期的にJASRAC、NexToneへ送付し、楽曲と著作権情報を関連付ける「著作権メタデータ」の追記を依頼します。
著作権情報とリンクされたコンテンツIDが戻されることで、YouTube利用者の投稿動画にJASRACやNexTone管理の楽曲が含まれていた場合、対応する使用料が各団体へ支払われることになります。

この仕組みを”DATA EXCHANGE”といいます。なお、上記は日本国内の場合で、海外では海外の著作権権利者との契約に従い、DATA EXCHANGEが行われます。

CD、サブスクの音源を使ってはいけない…

おと猫まいこーVol.1にて、「歌ってみた」動画で市販のCD音源やサブスク音源をバックトラックに使用することは、レコード製作者の権利(著作隣接権)における送信可能化権侵害にあたると説明しました。

しかし、投稿プラットフォームがYouTubeの場合、原盤権者がその楽曲の音源をコンテンツIDに登録していれば、原盤権者の設定したポリシーに基づき、投稿の制御(収益化、追跡、ブロックなど)が行われます。したがって、動画がブロックされずに公開されている状況は、原盤権者がその利用を容認していると判断できます。

なお、DAMやJoySoundといったカラオケ提供事業者の音源は、コンテンツIDに登録されていないケースが多いと思われ(未確認)、実際に訴訟事例も存在するため、使用を避けるべきです。


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