大地讃頌事件(最終回)


解説
名演奏なんじゃ!!
インプロビゼーションもなく、スイングさせるわけでもなく、ほぼほぼ原曲に忠実なアレンジです。そこにPE’Zの原曲に対するリスペクトを強く感じます。
演奏に対する気合の入り方はすごいです。後半の盛り上りはわたし的には鳥肌もんでした。
友人にCDを貸してもらって聴いたのですが、CDを貸してくれた友人もこの名演が埋もれてしまったことを非常に残念がっていました。PE’Zの大地讃頌を聴いて、原曲に興味を持つ人もいるはずだと言ってましたが、私も同意見です。
Vol.24の解説に記載しましたが、中古でCDは入手可能です。もし機会があったら聴いてみてください。
編曲権を不問に付す…
Vol.24の解説に記載した通り、大地讃頌事件以前は編曲権を持つ音楽出版社としては、多くのアーティストに曲をカバーしてもらえば、その分著作権料が入ってくるので編曲権をとやかくいうインセンティブがありませんでした。
しかし、大地讃頌については楽曲の編曲権を持っていたのは作曲者自身です。業界的には編曲権が気にされていなかったという事実はあったとしても、法的な権利であることは間違いないところです。
また、ポピュラー音楽のストレートカバーであれば、アレンジが異なるとしても楽曲のメロディー自体は変わらないので、非侵害の可能性はあったかもしれません。しかし大地讃頌は純音楽であったため、作品の完全性が求められる傾向が強く、やはり編曲権侵害に該当するという結論になったのではないかと思います。
同一性保持権…
著作者の「意に反する」改変はアウトですが、例外規定はあって、教科書に掲載する際の用語等変更、建築物の増築等、プログラムの移植等のための変更、そして著作物の性質的にやむを得ないと認められる改変は、同一性保持権は適用されません(著作権法第20条2項各号)。
また「通常の著作者であれば、 特に名誉感情を害されることがないと認められる程度のものであるときは、意に 反する改変とはいえず、同一性保持権の侵害に当たらないものと解される」という判例もあります(国語教科書準拠小学生テスト事件)。
PE’Zの大地讃頌は名誉感情を害するどころか、原作者の名誉声望を向上させる演奏だと私的には思いますが、厳しい主張になりそうです。特に大地讃頌の場合、出版された楽譜に作曲者がこの楽譜の編曲のみを使用せよと記載していました。
文化を豊かにする…
文化の発展に寄与することが著作権法の法目的です(著作権法第1条)。先行作品に共感し、その要素を取り入れ、新たな表現へと昇華させる再創造の積み重ねこそが、文化を豊かにする本質的なプロセスではないでしょうか。
俺の作品に触るな、変えるな、マネするなっていうなら、そもそも発表しなければいいのにと思います。公表という行為を選択した以上、作品が社会の共有財産としての側面を持つことを、著作者はある程度許容すべきと考えます。

